株式会社エリスとは?
株式会社エリス(ELIS Co., Ltd.)は、2001年の創業以来、水にこだわり続けてきた会社です。主力は、自社開発した小型の水力発電装置「WaterWeco®(ウォーターウェコ)」。これまで何も生み出さず、ただ流れていただけの河川・用水路に設置し、眠っていたエネルギーを電気などに変えます。
創業当初は、水の流れをコントロールするプールや回流水槽を販売していた会社でした。その技術を大学や研究所との連携で発展させ、2020年に特許を取得、翌年に実機を稼働させたのが、いまの水力発電装置です。すでに世界50カ国以上でパテントを取得し、海外パートナーとの連携も進めています。
代表の桑原さんは、早稲田大学で教育学を学んだ文系出身。その後ガス会社を経て、「化石燃料ではなく環境に価値を置く事業を」と社内ベンチャーで独立しました。クリーンエネルギーに人生を賭ける桑原さんに、技術の中身から、その原動力までを伺いました。

「川から海へ、落ちているエネルギーがもったいない」
メインの事業を、わかりやすく教えていただけますか。
株式会社エリス 代表取締役:Jun KUWAHARA「WaterWecoⓇ」という、自社で開発した水力発電技術です。今まで何も使われず、ただ水が流れているだけの場所を有効利用して、エネルギーに変えていく製品です。
大型の水力発電所はすでにたくさんありますが、小型のものは当時誰もやっていなかった。黒部ダムのような大きなところだけが使われていて、そこから川を通って海へ落ちていくあいだの小さなエネルギーは、まったく生かされていないんです。「これ、もったいないな」というのが正直なところで、そこにフォーカスしました。
御社ならではの技術は、どこにあるのでしょうか。
株式会社エリス 代表取締役:Jun KUWAHARA水は気候変動で増えたり減ったりします。従来の技術だと、水が増えたときに水車がうまく発電できずオーバーフローしてしまう。既存の水路にWaterWecoⓇを付けると、溢水もなく、ゴミも詰まることなく、魚にもやさしく、水が増減しても発電効率が一定になる技術を搭載しているんです。
高低差を使ってパイプラインで水を落とすような従来方式は、もう開発し尽くされていて、適地も少ない。市場はあるけれど、誰も挑戦していない未開発の領域を狙わないとビジネスになりません。だから、そこにフォーカスして研究開発をしました。しかも水力は太陽光などと違って24時間近く発電できる。水のエネルギーが多い場所は積雪も多いので、むしろ太陽光には向かないんですよ。

化石燃料の会社から、クリーンエネルギーへ
桑原さんはもともとエンジニアだったのですか。
株式会社エリス 代表取締役:Jun KUWAHARAいえ、僕はどちらかというと文系なんですよ。早稲田大学では教育学を専攻していました。流体も物理も電気も機械も、このビジネスをやってから、ほとんど社会人になってから学んでいます。文系理系は関係ないです。
前職がガスのリテールに携わっていたんですが、ガスは化石燃料じゃないですか。化石燃料は現在、生活を支えている重要なインフラです。もちろんやりがいはあるのですが、利害関係のない世界の科学者のほぼ総意となっている地球温暖化の根本原因である、化石燃料を燃やし続けていることで、いくら省エネ技術が普及しても世界人口が増えれば国連が言っている地球沸騰化状況は変わりにくいですよね。創業当時は、省エネソリューションも積極的に行っていましたが、エネルギー起源の温室効果ガスを劇的に減らす取り組みにもチャレンジする必要がある、と考えて、社内で会社を作って独立しました。完全に社内ベンチャーですね。
開発のなかで、特にきつかったご経験はありますか。
株式会社エリス 代表取締役:Jun KUWAHARA開発というのは、基本的に先が見えないんですよ。保証はない。国債のように原則として満期まで保有すれば元本保証があるというわけでもなく、かけたお金が返ってこないこともある。はっきり言えばギャンブルみたいなものです。
ちょうどノーベル賞の受賞がありましたが、研究者だって世界で数名しか受賞できない。そのためにやっているわけじゃなく、世の中を良くしたいからやっていて、たまたま拾い上げられた。失敗を恐れていたら、人間は全く成長しないんです。だから失敗を恐れず、どんどんチャレンジしていくしかない。

点を面に──小型水力が描く未来
この先、どういう会社であり続けたいですか。
株式会社エリス 代表取締役:Jun KUWAHARAただ、この技術をたくさん広めていくこと。その先には、異常気象や生物多様性、SDGsといった、人類が乗り越えないといけない課題があります。それを解決することこそが、人類が持続可能な社会に長く生き続ける道だと思っていて、事業で社会に貢献し続けることでそこに生きている意味を持ち続けたい。それが事業のコンセプトです。
ただ、採算性も求められるのは当然です。装置をユニット化し技術的な工夫をすることで、例えば川幅4〜5メートルのところに装置を3〜4ユニット並列で並べられる。1ユニットが10キロワットでも、3つ並べれば30キロワットになる。同じような地形はたくさんあるので、点を面にしていけば、大規模な発電所のようになるんです。最近盛んに言われはじめている、AIによる電力需要の高まり、就農人口減少によるスマート農業の必要性、海水温の変化などによる陸上養殖の必要性などによる電力ニーズの高まりにより、貴重な再生可能エネルギーに環境価値が上乗せされていくのは間違いないんです。そこに地域経済循環に貢献できるエネルギーソリューションビジネスを誘致することができます。

学生の皆さまへ──「とにかく失敗を恐れず挑戦!あとはコツコツやるだけ」
桑原さんが、生きるうえで大事にしている考えは何でしょうか。
株式会社エリス 代表取締役:Jun KUWAHARAやっぱり思い立ったら挑戦!ですよね。あとは、もうコツコツやるだけです。
情報が多すぎて選択が難しい時代だと思いますが、単純に自分が世の中(の人々)を幸せにするために何かやりたいことがあれば、それをチャレンジしていくのが一番いい。思い切って自分で始めた方がいいと思いますよ。人に言われてもモチベーションは上がらないですから。とにかく夢中になれることを見つけることです!アドレナリンを出し続けること、そうすることで人は何かのことに夢中になり続けられるんです!
WaterWecoⓇが実際にどんな場所で、どう使われているか。公式サイトでは、装置が動く様子の動画や、工場の排水、農業用水、公園の照明などに活用されている導入事例を紹介しています。記事で少しでも興味を持った方は、ぜひ実際の「現場」も覗いてみてください。





