株式会社TSUTSUMIとは?
株式会社TSUTSUMIは、群馬県を拠点に、重量鉄骨造のユニットハウス(コンテナハウス)の設計・製造・施工を一貫して手がける企業である。
「コンテナハウス」と聞くと、海外製の中古コンテナを改造したものをイメージする人も少なくない。しかし、同社が提供するのは、重量鉄骨を一から組み上げ、コンテナ形状に仕上げた国産の建築用ユニットだ。
最大の特徴は、工場で製造から内装工事までを行い、完成した状態で現地へ輸送・設置できる点にある。現地での施工工程を大幅に削減できるため、職人の確保が難しい離島や遠隔地でも効率的な建築が可能となる。実際に、本土から貨物船で約48時間を要する小笠原諸島・母島への納入実績も有している。
この事業を立ち上げたのは、代表の堤社長。約20年前、まだコンテナハウスが一般的ではなかった時代に、その可能性に着目した。当初は周囲から理解を得られず、時には笑われることもあったという。それでも独自のデザイン性と品質へのこだわりを貫き、現在の事業基盤を築き上げてきた。
現在は、取締役の増田氏も経営に参画。堤社長とともに、これまで培ってきた技術やノウハウを大切にしながら、さらなる品質向上と事業拡大に取り組んでいる。
建築費の高騰や職人不足が深刻化するなか、工場生産によって現地施工の負担を軽減できる同社の建築方式は、従来の建築手法が抱える課題に応える新たな選択肢となっている。
約20年にわたり培ってきた技術と実績を礎に、株式会社TSUTSUMIは今、さらなる成長に向けて歩みを進めている。

「コンテナハウス」はなぜ国産にこだわるのか
コンテナハウスと普通の住宅との違いを教えてください。
株式会社tsutsumi 代表取締役:堤 広之堤: 一番の特徴は、自社工場で製造から内装工事までを行い、完成した状態で現地へ輸送・設置できることです。
離島や山間部など、職人の確保が難しい場所でも、基礎工事やインフラ整備を事前に行うことで、現地での施工を最小限に抑えることができます。
実際に、小笠原諸島の母島への納入実績もあります。本土から貨物船で約48時間を要する場所ですから、現地に大工を派遣して一から建築するとなると、多くの時間と費用がかかります。しかし、工場で完成させたユニットを輸送する当社の工法であれば、現地での作業負担やコストを大幅に軽減できます。
また、「コンテナハウス」と呼ばれる製品には、海外製のユニットや貨物用コンテナを改造したものなど、さまざまな種類があります。
その中で、当社がこだわっているのは、重量鉄骨を一から組み上げ、コンテナ形状に仕上げた国産の建築用ユニットであるという点です。
私たちは、単にコンテナのような建物をつくっているのではありません。建築物としての品質や安全性、耐久性、そしてデザイン性を追求しています。
自社製造にこだわり続けているのも、品質に責任を持ち、本当に良いものをお客様に届けたいという一貫した思いがあるからです。
海外製の精度の悪さが、自社製造への転換を決定づけた
20年前にこの事業を始めたきっかけは何だったのでしょうか。また、自社製造に切り替えた経緯も聞かせてください。
株式会社tsutsumi 代表取締役:堤 広之堤: きっかけは、インターネットで商品販売をしていた友人から、「コンテナを倉庫や事務所として使いたい」と相談されたことでした。
当時から港湾などでは貨物用コンテナを事務所として利用するケースがあり、私自身も建築関係の仕事をしていたことから、「こういうものを作れないか」と声をかけられたんです。調べていくうちに面白さと可能性を感じ、知識も経験もないところから勉強を重ね、事業を始めました。
当初は中古の貨物用コンテナを改造する方法を採用していました。しかし、ホームページで紹介したところ、行政から建築基準法への適合性について指摘を受けたんです。
そこで、建築確認申請に対応できる製品づくりを目指し、大阪の業者と協力して海外製のユニットを輸入する時期もありました。
ただ、当時取り扱っていた製品は寸法精度にばらつきがあり、特に複数のユニットを連結して一つの建物にする際には、寸法が合わず、施工に大変苦労しました。
そうした経験から、品質や精度を自分たちで管理するためには、国内で製造するしかないと考えるようになったんです。
そして約10年前、京都の設計士の協力を得ながら、重量鉄骨造の国産ユニットを自社で製造する体制を築きました。
振り返れば、最初から現在の形があったわけではありません。さまざまな課題に直面し、その一つひとつを解決してきた結果が、今のBOX OF IRON HOUSEにつながっています。
24歳で独立、子どもが生まれる直前に会社を起こした
堤社長が独立されたのはおいくつの頃ですか。またその判断に至った理由を教えてください。
株式会社tsutsumi 代表取締役:堤 広之堤: 24歳のときです。19歳から栃木県足利市で約4年半、建築の仕事を修行して、その後、地元の前橋に戻って独立しました。
今思えば、決して良いタイミングではなかったですね。ちょうど結婚して、妻のお腹には子どももいましたから(笑)。それでも、昔から「やりたい」と思ったら行動せずにはいられない性格なんです。
独立を決意できたのは、修行先で私をかわいがってくれた職人さんの存在も大きかったですね。「経営は自分でやってみろ」と背中を押してくれたんです。
前橋に戻ってからは、とにかく営業の電話をかけ始めました。すると、何件目かに電話に出てくれた方が、偶然にも中学校の先輩だったんです。「一度来いよ」と声をかけてもらい、そこから仕事につながりました。
振り返ってみると、本当に人との縁と運に恵まれて、ここまでやってこられたと思います。
周囲の方々がいつも力を貸してくれて、支えてくれたからこそ、今の自分があります。どんなにやる気があっても、一人では何もできません。
これまで出会ってきた人たちへの感謝の気持ちは、今も変わりません。
住宅設備業界から転身した増田氏、堤社長との出会いが転機に
増田さんはどういう経緯でTSUTSUMIに入ることになったのでしょうか。
株式会社tsutsumi 代表取締役:堤 広之増田: 以前は、キッチンや浴室、エアコンなどの住宅設備機器の営業をしていました。建設会社への営業活動を通じて堤社長と知り合ったのですが、初めてお会いしたときから「この人は何か違う」と感じたんです。
実は当時、コンテナハウスにはまったく興味がなく、それまでに築いた人脈や経験を生かして、独立することを考えていました。堤社長にその相談をしたところ、快く応援していただいたんです。
ただ、独立するのであれば、営業だけでなく建築の現場も理解しておきたいと思い、まずは1〜2年ほど建築を学んでから独立しようと考え直しました。それがTSUTSUMIに入るきっかけでした。
その後、堤社長から「これからの事業を一緒に担っていかないか」と声をかけていただいたんです。身内でもない自分をそこまで信頼し、期待してくれたことが本当に嬉しかったですね。その期待に応えたいという気持ちと、堤社長と一緒にこの会社をもっと大きくしていきたいという思いが強くなり、TSUTSUMIで本格的に事業に携わることを決意しました。
堤: 増田は入社してわずか1〜2か月で、900万円近い案件を受注してきたんです。
実はその案件、搬入条件が非常に厳しく、私自身は「難しいから諦めた方がいい」と伝えていました。それでも増田は諦めず、実現する方法を考え続けて、最終的に受注につなげたんです。
さらに、入社からわずか1年で1億5,000万円もの売上を上げました。
私も30年以上この仕事をしてきましたが、これほどの行動力と営業力を持った人間には、なかなか出会ったことがありません。
その姿を見て、「こいつになら安心して事業を任せられる」と確信しました。

社員の健康弁当と作業着支給——「ブラック」の真逆を目指す現場
社員を大切にするうえで、具体的にどんな取り組みをされていますか。
株式会社tsutsumi 代表取締役:堤 広之増田: 建築業界ではまだ珍しい、土日祝日休みの週休2日制を徹底しています。始業は8時ですが、ほとんどの社員が17時30分には退社しており、残業もほぼありません。年間休日も大手企業と遜色のない水準を確保し、新卒社員の初任給は月額23万円からとしています。
また、福利厚生にも力を入れています。例えば、社員の昼食代は会社が半額を負担しています。単に食事代を補助するだけでなく、五穀米を取り入れた栄養バランスの良い健康弁当を採用しているのも特徴です。これは、社員の健康を第一に考える堤社長の思いから始まった取り組みです。
作業着についても、入社時に夏用・冬用それぞれ複数着を支給しています。こうした日々の小さな取り組みの一つひとつに、社員を大切にしたいという代表の考えが表れていると感じています。
堤: 以前は、休日も十分に取らず、夜遅くまで働くことが当たり前だった時期もありました。しかし、時代の変化とともに、仕事だけでなくプライベートを充実させることが、結果として仕事への意欲や生産性の向上にもつながると考えるようになりました。
今は、限られた時間の中でいかに効率よく仕事を進め、成果を上げていくかが重要だと思っています。
社員が安心して働き、家族や自分の時間も大切にできる環境を整えること。そのために生産性を高め、しっかりと休日を確保できる仕組みをつくっていくことが、これからの会社にとって大切な課題だと考えています。
5年後、社名を変えて新たなステージへ
これからの展望を聞かせてください。
株式会社tsutsumi 代表取締役:堤 広之堤: 今後は増田とともに、会社の新たなブランドづくりにも取り組んでいきたいと考えています。社名の変更も視野に入れながら、これまで築いてきたものを大切にしつつ、さらに成長できる会社にしていきたいですね。
現在の課題は、工場や事務所の規模が事業の成長に追いついていないことです。ありがたいことに多くのお仕事をいただいていますが、すべてのご依頼に対応できるだけの生産体制が十分に整っているとは言えません。
今後10年以内には設備や生産体制をさらに充実させ、より多くのお客様の期待に応えられる環境を整えていきたいと考えています。
増田: 将来的には国内だけでなく、海外への展開も視野に入れています。世界的にも建築費の高騰や人手不足が課題となるなか、工場で製造し、現地での施工を最小限に抑えられるユニットハウスには、大きな可能性があると感じています。
日本国内で培ってきた技術と品質を強みに、私たちが自信を持ってつくり上げた製品を、いつか世界中に届けられる会社にしていきたいですね。
そして、会社が成長し、利益が増えたときには、その成果を社員にもしっかり還元していきたいと考えています。
私たちは決して大きな組織ではありません。しかし、少人数だからこそ、一人ひとりの力が会社の成長に直結し、全員が同じ目標に向かって挑戦できる環境があります。
社員全員で会社を育て、その成長を一緒に喜べる組織にしていきたいですね。
これからも同じ志や夢を持ち、ともに挑戦してくれる仲間と一緒に、会社をさらに大きく成長させていきたいと考えています。




