株式会社アドバンスとは?
株式会社アドバンスは、兵庫県宝塚市を拠点にタイル工事・リフォームを手がける会社です。創業は1966年(昭和41年)。創業者がタイルの職人として独立して立ち上げた会社で、まもなく60周年を迎える歴史ある企業です。
高度成長期には分譲住宅事業にも進出し、その後リフォーム事業を立ち上げるなど、時代に合わせて事業の形を変えてきました。現在はタイル工事とリフォームを主軸に据え、宝塚という地域に根ざしながら事業を営んでいます。
またYouTube・Instagram・X・noteなどを活用した情報発信にも積極的に取り組み、地域貢献と会社のPRを両立させようとする姿勢が特徴です。今回は三代目社長に、事業の歩みや承継の苦労、そして現場業界の未来についてお話を伺いました。

会社の歴史と3つの事業
まず御社の事業について教えていただけますか。もともとはタイル工事からスタートされたそうですね。
株式会社アドバンス 代表取締役:山本 好英元々の主体はタイル施工会社です。創業者である私の父がもともとタイルの職人で、独立してタイル工事会社を立ち上げたのが始まりです。その後、創業者が1970年代の高度成長期に建売住宅、いわゆる分譲住宅を手がけるようになりました。
そこからリフォーム事業も立ち上げられたんですよね。
株式会社アドバンス 代表取締役:山本 好英私の代になって、分譲住宅でたくさんお家を建てたので、リフォームも需要があるのではないかと考え、20年ほど前にリフォーム事業を立ち上げました。今はタイルと分譲とリフォームの3本柱でやってきましたが、分譲事業は土地の価格や資材の高騰で実勢に合わなくなり、ほぼ休止状態です。
現在のメイン事業はタイルとリフォームということですね。
株式会社アドバンス 代表取締役:山本 好英そうです。今年の5月から改めてそういう形でスタートしています。タイルは60年やってきましたが、リフォームはまだ売上規模的にも貢献が小さく、始めて20年近くになりますが、まだまだこれから軌道に乗せていかなければならない事業です。

継ぐつもりのなかった三代目
こうしたお仕事は二代目の方が多い印象ですが、社長は最初から会社を継ぐおつもりだったのでしょうか。
株式会社アドバンス 代表取締役:山本 好英正式には社長として3代目になります。創業者は父で、いっとき叔父が社長を務めた時期もあり、叔父が病気で倒れたあとに私が引き継ぎました。ただ、もともと会社を継ぐつもりは全くありませんでした。
意外です。最初はどんな進路を考えておられたのですか。
株式会社アドバンス 代表取締役:山本 好英マスコミや放送関係に行きたいと考えていました。ですが父が厳格な昔ながらの頑固親父で、「なんでそんなところへ行くんや」と言われまして。それなら建築関係で、物事の元は不動産だと考えて不動産会社への就職を目指したのですが、それもまた反対されました。
そこからどうされたのですか。
株式会社アドバンス 代表取締役:山本 好英結局、就職したのは全く畑違いの化学工業薬品の商社でした。就職活動が末期を迎えていて、もう反対だけはするなという気持ちで決めた、動機としてはいい加減なものでした。3年ほど勤めるうちに、やっぱり自分の進むべき仕事は父がやっている会社なのかなと感じるようになり、サラリーマンを3〜4年やった後に今の会社に入りました。壮大な夢があったわけではなく、なんとなく、という感じでしたね。

事業承継のリアルと苦労
会社を継ぐにあたって、大変だったこともあったのではないでしょうか。
株式会社アドバンス 代表取締役:山本 好英会社を継承するということには、こういう大変なことがあるんだと、この年になってうわっと思うことがいっぱいあります。一番大きいのは相続税、相続の問題です。
相続の問題、といいますと。
株式会社アドバンス 代表取締役:山本 好英株式会社ですから株があります。先代が一生懸命利益を上げて蓄えを作れば作るほど、株の評価額はどんどん上がっていきます。それを私が創業者から相続するとなると、えげつない評価額になるわけです。父は昔ながらの人間で「相続対策なんかする必要はない、お前が一生懸命儲けて相続税を払ったらいい」という考えなので、下手をすれば莫大な借金を抱えなければならないこともあり得ます。
一生懸命会社を大きくするほど、承継時の負担が増えてしまうのですね。
株式会社アドバンス 代表取締役:山本 好英そうなんです。何もないものに対して、下手をすれば借金をしてまで払わなければならない、やりきれない仕組みだなと感じます。だからこそ、スムーズに移行するためには早い段階からコミュニケーションを取ることが大事です。うちのような小さな同族会社は特にそうですね。当時の私はそんなことを何も考えていませんでした。
社長の息子という立場での入社は、周囲の目もあったのではないですか。
株式会社アドバンス 代表取締役:山本 好英いわゆる「ボンボン」ですから、父から「会社に入ったら人の倍仕事をして、やっと普通や」と言われました。私もバカにされたくないので一生懸命やりました。今なら労働基準監督署に指導されるでしょうが、休みは1日もなく、会社に出ることが美徳だと思ってやっていました。大した仕事はできていませんでしたが、一生懸命やってきたという思いはあります。

時代に合わせた情報発信への挑戦
社長は建築業界の方には珍しく、SNSにかなり積極的に取り組まれていますよね。何か意識されていることはあるのですか。
株式会社アドバンス 代表取締役:山本 好英きっかけはリフォームで集客するためにどうするかというところからです。集客活動でSNSを使わないなんて、今や考えられませんから。事業活動の中で取り入れていくものだと捉えています。もし父が現役で社長としていたら、これを取り入れるのは至難の業だったと思います。私たちの時代はパソコンを会社に導入するのにも、自腹で買って「使えるようにするから入れさせてくれ」とお願いするほど苦労がありましたから。
具体的にはどんな発信をされているのですか。
株式会社アドバンス 代表取締役:山本 好英YouTube・Instagram・X・noteをやっています。特にYouTube、Instagram、noteに力を入れています。Instagramは会社そのものよりも、地域に根ざした情報発信を意識しています。
宝塚のラーメン屋やカフェを社員が実際に訪れて紹介する地域密着の発信
「すみれさん」という架空のキャラクターを立てた「すみれインフォ」の運営
地域限定でフォロワーを増やし、その中にリフォーム情報も少しずつ盛り込む工夫
「すみれさん」、実は取材前に拝見しました。YouTubeの「アドバンスチャンネル」も見つけました。
株式会社アドバンス 代表取締役:山本 好英それ、うちです。YouTubeはタイルの施工動画などを上げていて、作業動画が一番伸びるみたいですね。本当はリフォームの情報を発信したいのですが、社員の皆さんが一生懸命ネタを考えてやってくれています。私が頑張っているのではなく、社員の皆さんが頑張ってくれているんです。

現場業界の課題と、人を育てる新しい仕組み
採用が難しいというお話がありましたが、タイルや現場の業界にはどんな課題があるとお考えですか。
株式会社アドバンス 代表取締役:山本 好英タイルを貼れるようになるまでには3年ほどかかります。今日入社して明日から貼れる世界ではありません。それがなり手が少ない要因の一つです。昔ながらのイメージでは、親方について最初は材料運びなどの重労働から入るので、「タイルを貼りたくて入ったのに全然貼れない」となってしまうんですね。
職人さんの働き方にも独特の事情があると伺いました。
株式会社アドバンス 代表取締役:山本 好英職人さんは一人親方で一事業主です。うちで貼ってもらっている職人さんも、正式には社員ではなく業務請負契約の専属事業主です。外の仕事なので雨が降れば仕事ができず、1週間雨が続けば収入がゼロになるという不安定さがあります。昔はそれでも単価が良く、同年代のサラリーマンの倍は稼げましたが、リーマンショックで技術料が下がり、一度下がった単価はなかなか元に戻らないという状況が続いています。
そうした中で、御社ではどんな採用や育成を考えておられるのですか。
株式会社アドバンス 代表取締役:山本 好英今後は職人さんも社員として採用しようと考えています。
社会保険などの福利厚生を社員と同じにする
基本給を保証し、雨で現場に出られない日も収入をゼロにしない
愛知県常滑にあるタイル職人養成学校へ半年通ってもらう(費用は会社負担)
残り半年は現場で職人と一緒に働きながらカリキュラムを消化し、1年で卒業
こうすれば、昔のように一から材料運びで始めるのではなく、基礎知識を積んだ状態で2年目から仕事に入れます。「楽しくなければ仕事は続かない」と思うので、タイルを貼る楽しさをいち早く感じてもらいたいのです。
求人活動そのものにも苦労されているそうですね。
株式会社アドバンス 代表取締役:山本 好英兵庫県下や大阪、遠くは鳥取や島根、四国まで高校の進路指導課を回って求人票を出しています。ですが先生自体がタイル工事店の存在を知らないことも多く、地元採用志向も強い。今は大企業も人手不足で幅広く採用するので、「宝塚のアドバンスって何?」という会社に目を留めてもらうのは至難の業です。心が折れることもありますが、やり続けないときっかけもないので続けています。今はベトナムからの技能実習生2人にも力を借りています。
だからこそ、SNSでの発信がより大切になってきますね。
株式会社アドバンス 代表取締役:山本 好英その通りです。「おもしろそうやな、やりがいあるな」と知ってもらわなければなりません。今の若い方は給料の高い安いよりも、福利厚生がしっかりして休みも取れる、ワークライフバランスを重視されます。そういう中で現場は敬遠されがちで、「現場?」となってしまう。だからこそ、タイルを貼る楽しさや仕事の魅力を、動画などでもっと伝えていかなければと考えています。

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